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ベトナム端午の思い出 作者:ベトナム新住民/阮氏芳花

世界のエピデミックが厳しくなる状況に対し、私は端午が早く来て、憎らしいウイルスを連れ去って、健康、平安をこの世界に戻すことに望んでいる。なぜそんなことを言うと、ベトナムでは「端午節」の別称は「虫殺しの節」ということで、その「虫殺し」を聞くと、皆は私がこの節句が来るのをそんなに期待している理由が分かるだろう。

アジアでは多くの地域、例えば台湾、中国、韓国、そしてベトナムも端午節を過ごしてるが、ベトナムの端午は他の国とはどう違っているのか。まず、ベトナムの端午は台湾のと同じ旧暦の五月五日だが、我々は屈原という方の存在は全然知らなくて、ちまきも正月しか食べず、タマゴ立てやドラゴンボートなどもないし、ましてや休日でもない以上、ベトナム人はどういう風に端午を過ごしているのだろう。

私は小さい頃にベトナムの北部に住んでおり、家は端午の一週前から、母は酒飯を作る準備に入る。酒飯を作るにはいろんなステップがあって、細かい部分も多い。まずは選んだもち米を煮込んだら放置し、お酒とイーストを入れて(もち米とイースト比率は要注意)、バナナの葉で包み込む。およそ4、5日後、家はいい匂いに満ちる。空気が入ると、酒飯は失敗し、母がやったことは無駄になる。そういうことがあるから、母は早くから私たちに開けてはいけないと注意した。だが、その匂いを嗅ぐと好奇心に駆使され開けちゃったら、すぐ母を呼んで「お母さん、なんか液体漏れてる!」と言って、母もすぐにチェックして、幸い酒飯は成功に出来上がって、翌日もちょうど端午を迎える。

端午当日の朝、大人たちは大きい鍋でハーブの水を出して、中にはゆずの皮、レモンの葉っぱ、オガルカヤ、パクチーの花、ガパオなどのハーブを入っている。その水は実はお風呂用のもので、体の細菌や虫などをすべて洗い流し、将来の一年で皆の健康を祈る効果がある。お風呂終わって、大人たちが神様を祀ったら、皆で酒飯を食べる。ある年の話だが、酒飯はとても甘くておいしかったから、私は何杯も食べちゃって、母が来たときはもう酒飯が残っていなかったことがある。その時母は私の顔が真っ赤になって、「虫殺し、虫殺し」をずっと言っているといった。

暑い夏がもうすぐ来るので、皆様のご健康をお祈りします。もし台湾の皆様が端午の節にベトナムに旅行に行ったら、ぜひ酒飯食べてみてください。でも私のようにそんなに食べちゃダメですよ。


図1紫もち米の酒飯



図2端午の会食